⛩ やしろめぐりyashiromeguri
破魔矢・熊手・お守りを並べた千代紙風の図案

開運招福

開運・招福
その他

開運招福(かいうんしょうふく)は、運を開き福を招くことを願う祈願です。学業や商売のように対象がはっきりした願いとは違い、暮らし全体の巡り合わせが良くなることを願う総称にあたります。石清水八幡宮は「厄除開運祈願」、筥崎宮は「厄除開運」、太宰府天満宮は「家内安全・開運」と、いずれもほかの祈願と組にして掲げています。年の初めに集中しますが、通年受け付ける社がほとんどです。

「厄除開運」——祓うことと開くことは一続きだった

開運招福という言葉には、特定の由緒がありません。神社が掲げる祈願項目のなかでも、対象を限らない総称にあたります。多くの社が「厄除開運」と続けて表記するのは、災いを祓ってはじめて運が開けるという考え方が背景にあるためです。初詣で受ける祈祷、授与される破魔矢や熊手といった縁起物は、いずれも新しい年の巡りを良くしたいという願いに連なるものです。破魔矢は、正月に弓の技を試す「射礼」という行事で使われた弓矢に由来するとされ、のちに一年の好運を射止める縁起物として初詣で授与されるようになりました。なお「招福」は福を招くこと、「開運」は運勢が開けることを指し、厳密には別の語ですが、実際にはひとまとまりの祈願として扱われています。国語辞典のデジタル大辞泉も、「開運」を「運が開けること。幸運に向かうこと」、「招福」を「福を招くこと。幸せを呼び寄せること」と説明しています。神社の祈祷では願いごとの種別(願意)のひとつとして掲げられ、「除災招福」のように災いを除く語と重ねた形の呼び名もあります。

どんなときに受ける祈願か

年の初めに
初詣にあわせて受ける形が広く行われています。授与される破魔矢や熊手も、新しい年の巡りを良くしたいという願いに連なるものです。
厄除けとまとめて
災いを祓ってはじめて運が開ける、という考え方から、多くの社が「厄除開運」と続けて掲げます。石清水八幡宮・筥崎宮はいずれもこの形です。
家全体のことを願うとき
太宰府天満宮は「家内安全・開運」を一つの願意としています。個人の願いというより、暮らしの単位ごとに受ける形です。
願いを一つに定めたいとき
対象を一つに絞るのであれば「心願成就」が用意されています。日枝神社は開運招福と心願成就を別々に案内し、筥崎宮は心願成就を合格祈願と同じ項目に置いています。

開運招福の基本——時期・授与品・併記される祈願

受ける時期と授与品の目安です。この祈願は単独で掲げられることが少なく、どの祈願と組になっているかが社ごとの特徴になります。

主に祈願される時期
年の初め(初詣)
通年受け付ける社がほとんどです
よく見る授与品
破魔矢・開運守・熊手
よく併記される祈願
厄除開運
災いを祓う祈りと対で掲げられます
対象
暮らし全体の巡り合わせ
対象を限らない総称にあたります

開運招福と結びつく神さま

開運招福に固有の神はいません。対象を限らない総称なので、その社の祭神がもともと持っている性格がそのまま出ます。弓矢で邪を退ける八幡さま、災厄を鎮めるために祀られた天神さま——どちらも「祓う」ことから「開く」ことへつながっています。

弓矢を執る武神とされることから、邪を退けて運を開く神として信仰されました。正月に授与される破魔矢・御神矢は、この性格を受け継いだ授与品です。
学業成就で知られますが、災厄を鎮めるために祀られたのが天神信仰の出発点でした。厄除開運を掲げる天満宮があるのは、この由来によります。
掲載社のうち、このご利益を掲げる社に祀られている神

※ これは「このご利益を掲げる神社に、どの神が祀られているか」を数えたものです。神さまとご利益の因果を示すものではありません。

開運招福の神社

全国で名高い社

開運招福で名の知られた社は、厄除開運を専用の案内で受け付けている八幡宮と、都や国の守りとして置かれた社に分かれます。この祈願に総本社はないため、顔ぶれは掲げ方の違いで並びます。

※ 全国的に知られた社を挙げています。当サイトに掲載済みの社にはリンクがあり、「当サイト未掲載」とあるものは今後の収集対象です。並びは知名度や格の順ではありません。

当サイトの掲載社(掲載132社のうち13社)

上に挙げた6社をのぞき、総本宮・社格・称号の順に7社を表示しています。

※ 並び順は旧社格(1946年に廃止された近代の格付け)と、総本宮・一宮などの称号にもとづくものです。格の高さがご利益の大きさを表すものではありません。

破魔矢は神棚か、目線より高い清浄な場所へ

初詣で授与される破魔矢は、神棚がある家では神棚に、無い場合は目線より高い清浄な場所に納めるのが通例です。矢の向きに全国共通の決まりはなく、社によって案内が異なります。一年を過ぎたものは、授与された社の古札納所に納めます。祈祷を受ける場合、年の初めは受付が混み合い、待ち時間が長くなることがあります。受付時間・初穂料は社ごとに異なり、当サイトでは未確認の社が多くあります。参拝前に公式サイトでご確認ください。
壁の高い位置に取り付けた神棚と、棚板に横たえた破魔矢
神棚に納めた破魔矢。棚板の下面が見えるのは、目線より高い位置にあるためです。矢の向きは社によって案内が異なります。

開運招福のよくある質問

開運招福と厄除けはどう違いますか?▾
災いを祓うのが厄除け、運が開けることを願うのが開運招福です。ただし多くの社が「厄除開運」とひとまとまりで掲げており、実際には区別せず受けられることがほとんどです。
正月以外に受けてもよいですか?▾
問題ありません。通年受け付けている社がほとんどです。年の初めに集中するのは習わしによるものです。
破魔矢はどこに置けばよいですか?▾
神棚か、目線より高い清浄な場所に納めるのが通例です。向きについては社によって案内が異なります。
開運のお守りは複数持ってもよいですか?▾
差し支えないとされます。神さま同士が争うという話は俗説で、神社の教えとして定められたものではありません。
開運招福と心願成就はどう違いますか?▾
心願成就は、心に定めた特定の願いがかなうことを祈るものです。開運招福は対象をひとつに限らず、暮らし全体の運が開けることを願います。日枝神社(東京)のように、両方を別々の祈願として案内している社もあります。
「厄除開運」や「除災招福」と開運招福は同じ意味ですか?▾
いずれも「災いを除く」と「運を開き福を招く」を組み合わせた言葉で、願う中身は重なっています。どの呼び名を掲げるかは社によって異なり、「厄除開運」とする社もあれば、明治神宮のように願意を「除災招福」とする社もあります。
  • 開運招福は特定の由緒に基づく祈願ではなく、対象を限らない総称です。社によって内容や呼び名が異なります。
  • 破魔矢の由来には諸説があり、ここに記した射礼由来の説もそのひとつです。
最終確認日:2026-08-27