同じ名で語られる、いくつもの玉依姫
『日本書紀』第9段の一書には、万幡姫の娘で天忍骨命の妃とされる玉依姫命が登場します。別の伝では綿津見神(海神)の娘で、彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊の妻となり神武天皇を生んだとされます。『山城国風土記』逸文の賀茂神社の縁起では、賀茂建角身命の娘の玉依姫が賀茂川で丹塗矢を拾い、賀茂別雷命を生んだと伝えられ、これは賀茂社の御阿礼神事を説話にしたものと考えられています。同じ名でありながら別の物語をもつのは、この名が巫女の性格を表す語だったことの反映とみられます。
玉依姫命(たまよりひめのみこと)は、日本神話に登場する女神です。「タマ」は神霊、「ヨリ」は憑りつくことを指し、名は「神霊の依り代となるヒメ」を意味すると解されます。柳田國男はこれを神霊を宿すことのできる巫女の総称ととらえ、倉塚曄子も固有名詞というより普通名詞と考えたほうがよいと述べています。そのため記紀には同じ名で呼ばれる複数の女性が登場します。八幡宮では筥崎宮・誉田八幡宮などで並び祀られ、賀茂御祖神社(下鴨神社)の祭神としても知られます。
玉依姫は固有名詞というより、神霊を宿す巫女のありようを表す言葉と考えられています。そのため記紀や風土記には、同じ名で親も夫も異なる女性が何人も登場します。
伝によって親も夫も子も異なるため、当サイトは血縁を確定させていません。系図を一本に描くと、どの伝の玉依姫かを当サイトが決めてしまうことになります。
※ 並び順は旧社格(1946年に廃止された近代の格付け)と、総本宮・一宮などの称号にもとづくものです。格の高さがご利益の大きさを表すものではありません。