
五穀豊穣
豊作祈願
その他
五穀豊穣は、米をはじめとする作物の実りを願う祈りです。個人が申し込む祈願というより、共同体の祭りとして営まれてきました。祈る時期は決まっていて、春と秋にそれぞれ名の付いた祭りがあります。今日では農業に携わる人の祈願として、また地域の祭りとして受け継がれています。
春に祈り、秋に感謝する——一年を挟んだ対の祭り
五穀とは米・麦・粟・豆・黍(または稗)を指すとされ、作物一般を表す言葉として使われます。年の初めに実りを祈る祈年祭と、秋に収穫を供えて感謝する新嘗祭は、一年を挟んで対になる祭りです。祈るだけでなく、その年の作柄をあらかじめ占う神事も各地に伝わります。佐賀県みやき町の千栗八幡宮に伝わる粥占はその一例で、2月16日に社前の祓川の水で粥を炊いて4つの鉢に分け、3月15日に取り出して黴の出方を見ます。五色の黴が生えた方角がその年の豊作の地とされます。作物の実りを司る神として広く信仰されてきたのは稲荷で、2月最初の午の日である初午が祭日にあたります。
一年のどこで祈られるか
2月 祈年祭
年の初めにその年の実りを祈る祭りです。宮中では2月17日に行われ、全国の社でも同じ名の祭りが営まれます。谷地八幡宮は3月下旬の祈年祭で当地方の五穀豊穣と産業振興を祈願しています。
2月 初午
2月最初の午の日が稲荷の祭日にあたります。鹿児島神宮の初午祭は旧暦1月18日ごろに行われ、五穀豊穣が祈られて鈴かけ馬踊りが奉納されます。
春 作柄を占う神事
千栗八幡宮の粥占は、2月16日に社前の祓川の水で粥を炊いて4つの鉢に分け、3月15日に取り出して黴の出方を見ます。五色の黴が生えた方角がその年の豊作の地とされます。
11月 新嘗祭
秋の収穫を神に供えて感謝する祭りです。春の祈年祭と一年を挟んで対になり、この二つが五穀豊穣の祈りの柱にあたります。
五穀豊穣の基本——祭りの日・占い・担い手
この祈願は個人の祈祷というより祭りの形をとります。いつ、どの祭りで祈られるかが読みどころです。
主に祈願される時期
春の祈年祭(2月〜3月)・秋の新嘗祭(11月)
宮中の祈年祭は2月17日
作柄を占う神事
粥占(かゆうら)ほか
千栗八幡宮の粥祭など、各地に伝わります
結びつく信仰
稲荷信仰
2月最初の午の日(初午)が祭日にあたります
現在の担い手
農業に携わる人・地域の祭り
五穀豊穣と結びつく神さま
作物の実りを司る神として広く信仰されてきたのは稲荷です。八幡宮がこの祈りを担ってきたのは、稲の神を祀るからではなく、地域の鎮守として土地の実りに関わってきたことによります。
宇迦之御魂神(お稲荷さん)
稲の実りを司る神とされ、五穀豊穣の祈りの中心にいます。伏見稲荷大社を総本宮とする稲荷信仰は、のちに商売繁盛の信仰へも広がりました。
天孫降臨の神。新田神社では、川内の地に水を引いて新しく田を作ったという伝承が社名の由来として伝えられています。
掲載社のうち、このご利益を掲げる社に祀られている神
誉田別命(10社)息長帯比売命(6社)仲哀天皇(2社)彦火火出見尊(2社)市杵島姫命(2社)瓊瓊杵尊(2社)武内宿禰(2社)玉依姫命(2社)天照大神(1社)住吉三神(1社)多岐津姫命(1社)多紀理毘売命(1社)鵜葺草葺不合命(1社)
※ これは「このご利益を掲げる神社に、どの神が祀られているか」を数えたものです。神さまとご利益の因果を示すものではありません。
五穀豊穣の神社
全国で名高い社
五穀豊穣で名の挙がる社は三つの筋に分かれます。作柄を占う神事を伝える社、初午の祭りで実りを祈る社、そして稲作の起こりを社名や由緒に持つ社です。
千栗八幡宮八幡五所別宮詳しく →
佐賀県みやき町。3月15日の粥祭は「おかゆさん」とも呼ばれ、粥に生えた黴の出方でその年の豊作・凶作を占います。
鹿児島神宮大隅国一宮詳しく →
鹿児島県霧島市。旧暦1月18日ごろの初午祭で五穀豊穣が祈られ、鈴かけ馬踊りが奉納されます。
新田神社薩摩国一宮詳しく →
鹿児島県薩摩川内市。社名の「新田」には、瓊瓊杵尊が川内川から水を引いて新しく田を作ったという意味が込められているとされます。
谷地八幡宮寒河江荘三八幡詳しく →
山形県河北町。3月下旬の祈年祭で当地方の五穀豊穣と産業振興が祈願されます。9月の例祭で奉納される林家舞楽は重要無形民俗文化財です。
伏見稲荷大社当サイト未掲載
京都市伏見区。全国に約3万社あるといわれる稲荷神社の総本宮とされ、稲の実りを司る宇迦之御魂大神を祀ります。
大神神社当サイト未掲載
奈良県桜井市。三輪山を神体山とする大和国一宮で、酒造・農耕の神としての信仰を集めてきました。
※ 全国的に知られた社を挙げています。当サイトに掲載済みの社にはリンクがあり、「当サイト未掲載」とあるものは今後の収集対象です。並びは知名度や格の順ではありません。
当サイトの掲載社(掲載132社のうち10社)
上に挙げた4社をのぞき、総本宮・社格・称号の順に6社を表示しています。
筥崎宮日本三大八幡別表神社筑前国一宮
はこざきぐう ・ 福岡県 ・ 官幣大社記事の記述から詳しく →
甲宗八幡神社別表神社
こうそうはちまんじんじゃ ・ 福岡県 ・ 県社祭神から詳しく →
生目神社
いきめじんじゃ ・ 宮崎県 ・ 県社記事の記述から詳しく →
若宮八幡宮(高知市)
わかみやはちまんぐう ・ 高知県 ・ 県社記事の記述から詳しく →
櫛引八幡宮
くしひきはちまんぐう ・ 青森県 ・ 郷社記事の記述から詳しく →
吉川八幡神社
よしかわはちまんじんじゃ ・ 大阪府 ・ 郷社記事の記述から詳しく →
※ 並び順は旧社格(1946年に廃止された近代の格付け)と、総本宮・一宮などの称号にもとづくものです。格の高さがご利益の大きさを表すものではありません。 「祭神から」は、その社の主祭神に伝わるご利益から導いたもので、各社が公式の祈願名として掲げているとは限りません。
五穀豊穣のよくある質問
五穀とは何を指しますか?▾
米・麦・粟・豆・黍(または稗)を指すとされます。作物一般を表す言葉として使われ、地域や文献によって内容が異なります。
祈年祭と新嘗祭はどう違いますか?▾
年の初めに実りを祈るのが祈年祭、秋に収穫を供えて感謝するのが新嘗祭です。一年を挟んで対になる祭りです。
粥占とは何ですか?▾
粥を用いてその年の作柄を占う神事です。千栗八幡宮では、粥に生えた黴の色と方角からその年の豊作の地を占います。
農業に携わっていなくても祈願できますか?▾
受け付けている社があります。地域の祭りとして営まれることも多く、参列は限られていません。
- 五穀の内容は文献や地域によって異なり、一つに定まっていません。
- 粥占・田遊びなどの神事は地域ごとに作法が異なります。日程は変更されることがあるため、参拝前に各社の案内をご確認ください。
最終確認日:2026-08-27