
方位除け
方除け・八方除け
厄除・方除
方位除けは、方角の巡り合わせによる災いを避けるための祈願です。引っ越し・新築・開業・長期の旅行を控えた人が受けます。年齢の節目を対象とする厄除けとは別の体系で、こちらが見るのは方角と、その年の星の巡りです。社によって「方除」「八方除」と呼び分けがあり、申し込みには生年月日と、移る方角を伝えます。
厄年は「いつ」、方位除けは「どちらへ」
厄除けが年齢という時間の節目を対象にするのに対し、方位除けが対象にするのは空間——どの方角へ動くかです。九星術から生じた方位神は決まった規則で各方位を巡るとされ、凶神のいる方角へ事を起こすと災いがあると考えられました。平安時代には、行き先が凶方位のときにいったん別の方角へ向かう「方違え」が盛んに行われています。九星による本命星がその年どの位置にあるかで吉方位・凶方位が決まり、凶方位を犯すことによる災厄を避けるために祈祷が行われます。本命星が中央(中宮)に位置する年を八方塞がりといい、どの方角へ動いても障りがあるとされました。もう一つ、方角にまつわる古い考え方が鬼門です。北東を鬼門、南西を裏鬼門と呼び、平安京では北東の比叡山延暦寺に対して、南西を守る社として石清水八幡宮が位置づけられました。なお、方位神や九星は陰陽道・九星術に由来するもので、神道固有の教義ではありません。
どんなときに受ける祈願か
引っ越しのとき
移る方角を対象に祓いを受けます。石清水八幡宮は「八方除祈願」「方除祈願」を、大宮八幡宮は「方位除け」を、鎮守府八幡宮は「方除(方違)祓」を掲げています。
家を建てる・店を開くとき
社殿での祈祷ではなく、神職が現地へ出向く出張祭典になることがあります。筥崎宮は地鎮祭・起工竣工式・家祓・落成・開店祓を、大宮八幡宮は地鎮祭・上棟祭・竣功祭・開店・開所を案内しています。
八方塞がりの年に
九星で本命星が中央(中宮)に位置する年を指し、どの方角へ動いても障りがあるとされます。数え方は流派によって異なります。
長い旅行の前に
方角が気になる旅程では方位除けを、道中そのものの無事を願うのであれば旅行安全を受けます。太宰府天満宮は「方位除」と「旅行安全」を別の願意として立てています。
方位除けの基本——対象・呼び名・由来
何を対象とする祈願で、どの言葉で案内されるかの目安です。呼び名と祈願の範囲が社ごとに違うのが、この祈願のいちばんの特徴です。
主に祈願される時期
年の初め、または引っ越し・新築の前
対象となる事柄
引っ越し・新築・開業・長期の旅行
別の呼び方
方除け・八方除け
社によって呼び方と範囲が異なります
由来
陰陽道・九星術
神道固有の教義ではありません
方位除けと結びつく神さま
方位除けは特定の神の神徳というより、方角の吉凶という体系に対応する祈願です。もとは陰陽道・九星術の考え方で、神道固有の教義ではありません。八幡宮がこれを引き受けてきたのは、都の裏鬼門を守るという位置づけによります。
歳徳神
その年の福徳を司るとされる神で、いる方角を恵方と呼びます。方位神のひとつで、九星術・陰陽道の体系に属します。
石清水八幡宮が平安京の裏鬼門を守る社と位置づけられたことから、八幡宮には方角の災いを祓う社としての性格も重ねられました。
方位除けの神社
全国で名高い社
方位除けで名の知られた社は二つの筋に分かれます。都の鬼門・裏鬼門を守る位置に置かれた社と、方除を看板として掲げ、引っ越しや工事の祈願を専門に受けてきた社です。
石清水八幡宮三大八幡・王城守護詳しく →
京都府八幡市。平安京の南西の裏鬼門を守る社と位置づけられ、八方除祈願・方除祈願を受け付けています。
千栗八幡宮八幡五所別宮詳しく →
佐賀県みやき町。方位除・八方除の祓いを受け付けています。
大宮八幡宮武蔵国三大宮詳しく →
東京都杉並区。諸祈願の項目に方位除けを掲げ、地鎮祭・上棟祭などの出張祭典もあわせて案内しています。
鎮守府八幡宮奥州鎮守府の社詳しく →
岩手県奥州市。方除(方違)祓の祈祷を受け付けています。
城南宮当サイト未掲載
京都市伏見区。「方除の大社」として知られ、引っ越しや工事にあたっての方除祈願で広く参拝されています。
寒川神社当サイト未掲載
神奈川県高座郡寒川町。相模国一之宮で、八方除の祈願で知られます。
※ 全国的に知られた社を挙げています。当サイトに掲載済みの社にはリンクがあり、「当サイト未掲載」とあるものは今後の収集対象です。並びは知名度や格の順ではありません。
当サイトの掲載社(掲載132社のうち5社)
上に挙げた4社をのぞき、総本宮・社格・称号の順に1社を表示しています。
※ 並び順は旧社格(1946年に廃止された近代の格付け)と、総本宮・一宮などの称号にもとづくものです。格の高さがご利益の大きさを表すものではありません。
申し込みには生年月日と方角が要ります
方位除けは本命星から吉凶を見るため、申し込みの際に生年月日を伝えます。引っ越しや新築であれば、移る方角や土地の所在も尋ねられることがあります。社によって「方位除け」「方除け」「八方除け」と呼び分けがあり、家相・地相まで含めて祓うかどうかも異なります。厄除けとあわせて受ける人も少なくありません。受付時間・初穂料・祈願の範囲は社ごとに異なり、当サイトでは未確認の社が多くあります。参拝前に公式サイトでご確認ください。
方位除けのよくある質問
厄除けと方位除けは何が違いますか?▾
年齢の節目である厄年を対象とするのが厄除け、方角と星の巡りを対象とするのが方位除けです。別の体系なので、両方を受ける方もいます。
八方塞がりとは何ですか?▾
九星で本命星が中央(中宮)に位置する年を指し、どの方角へ動いても障りがあるとされる年回りです。数え方は流派によって異なります。
地鎮祭とは違うのですか?▾
違います。方位除けは社殿で受ける祈祷、地鎮祭は神職が現地へ出向く出張祭典です。筥崎宮・大宮八幡宮はいずれも両方を別の案内として設けています。
引っ越しの前と後、どちらで受けるのですか?▾
前に受けるのが通例とされますが、決まりはありません。移った後に新しい土地の氏神へ挨拶を兼ねて受ける方もいます。
鬼門とは何ですか?▾
北東の方角を指し、南西を裏鬼門と呼びます。平安京では北東を延暦寺が、南西を石清水八幡宮が守る社と位置づけられました。
- 方位神・九星・八方塞がりは陰陽道および九星術に由来する考え方で、神道固有の教義ではありません。年齢や方角の数え方は流派によって異なります。
- 「方位除け」「方除け」「八方除け」の呼び分けと祈願の範囲は社によって異なります。
最終確認日:2026-08-27